糖尿病性網膜症
音楽の父として有名なバッハやヘンデルは、糖尿病が原因で失明したと伝わっています。
病気が原因で失明される方の、実に5人に一人が、糖尿病を原因として視力を失っているのです。
眼をカメラに例えれば、網膜はフィルムまたは撮像素子のようなものです。どんなによいレンズをつけても、フィルムがボロボロならよい写真を撮ることはできません。おなじように、網膜という眼の奥にある膜が傷んでしまうと、物が見えなくなってしまうのです。これは、高血糖が続いた結果、網膜に拡がる毛細血管に、もろくて破れやすい血管の芽が生えはじめ、これがやぶれて出血したり、傷ができて網膜自体が破れたり引きつれたりしていきます。黄斑という網膜の中心部分に障害が及べば、視力は大きく損なわれ、失明に至ります。
失明すれば、自動車の運転は困難です。段差の一つ一つが怪我のもとになります。トイレに行くのも大変です。誰かに手を引いてもらわなければなりません。服を着たり脱いだりするのも一人では難しくなります。パンツをだすのも、歯ブラシに歯磨き粉をつけるのも、髪をとかすのも、どれもこれも一人ではできないのです。
糖尿病は、ご自身だけでなく、家族も巻き込んで不幸をもたらす病気なのです。